※生きてて多分一緒に住んでる
広大な砂漠へ沈む夕日が好きだ。砂丘の影でくっきりと分かれる黒
「悦に入ってるようだが、見てるのか」
雰囲気につい浸っているところをナッシュの旦那に見抜かれた。優
「こほん! 見てますとも」
「そうか」
今日の夕日は格別そうだと、旦那をお気に入りの場所まで連れ出し
こうして無事ふたり、砂漠の上に椅子を並べて夕日を眺めるまで至
肝心の旦那のほうを向けば、じっくりと陽が沈む光景を見ていた。
「そろそろ夜になるぞ」
うげ。本当だ。あんなに大きかった光は大体が沈み、一等星すら見
まあ、仕方ないかな、と思うことにした。自分が好きだからって、相手も同じになるなんて難しい話だ。それに、無理に引き出してしまったら、オレがここを好きな気持ち
「お前らしくもないな」
つと、優しく手を握られる。さっきまで珈琲カップをもっていた掌は温
「人の『好き』ばかり気にしてるからだ。自分のことになると、過
返す言葉がなかった。そうだ、この人は人の弱いところが解るんだ
「いつも通り、聞いて、解ればいい。それだけだ」
こつり、おでこが合わさった。どんな小さな声でも聞こえ
「この景色、好きなんだ。あんたも・・・・・・好きになってくれ
「ああ、好きになった」
「気に入った?」
「そうだな」
「キレイだろ?」
「キレイだ」
「そう思うのって、掛け値なしに? それともオレが好きな景色だから?」
「もう解るだろう」
勿論、の意味を込めて、オレは唇を寄せた。