さっきからちょくちょく部屋に風が舞う。ラシードがゲームのロー
「おい、画面変わったぞ」
ラシードはたっぷりスピンをした後、優雅に決めポーズをした。止
「耐えきれないんだよ」
「ご苦労様だな」
「旦那は平気なワケ?」
「好ましくはない、が」
が? と催促される。
「ぴょんぴょん跳ねるお前を見るのは、愛おしい気持ちになるな」
ラシードは暫く呆然とした後、すとんと私の横に座ってゲームを再
ーーー
動画にはいろんな人からコメントが来る。基本、ファイトが好きな
そんな中で、最近「あら?」と思ってるのが、毎度オレの容姿を褒
という風に悩んでいるところをナッシュの旦那に見つかって大変ピ
「消す」
さっきから旦那は同じことしか言わない。めちゃくちゃ怖い。
でも、人の機微に明るい旦那なら、こういう人は刺激しちゃいけな
「あと過去こういう人は稀にいたし・・・・・・」
オレだって配信歴は長い。だから、任せてほしいところではある、のだけど。
なんか旦那からオーラが出てる。真っ黒の、ラスボスが出すような
「全員消す」
「なんでぇ!?」
その後、暗殺ルートはなんとか回避したものの、オレの動画には暫
ーーー
「我はランプの魔神」
本から顔を思わず上げてしまった。目の前には、したり顔で腕組み
本を閉じ、ソファの肘おきに置く。負けたのは仕方ないので構うし
「何の用だ」
「おやおやおやぁ、ランプの魔神のお約束、ご存じでない?」
「コイツを自由にしてやってくれ」
「あっ、それもあるけど、もっと手前の」
「外に出してくれ」
「もーちょい、いや結構後」
三つの願い、か。今更王子になりたいだの金持ちになりたいだの(
ぽんぽん、と自分の横を叩く。
「ひとつ目、ここに座れ」
「はい」
疾風のようにラシードが横に座った。
次は自分の肩を叩く。
「ふたつ目、ここに頭を預けろ」
ほんの少し間があって、おずおずと頭が乗った。
「三つ目。目を瞑って、ゆっくり休め」
肘おきの本を回収し、再開する。さて、どこまで読んだかな。
「・・・・・・四つ言ってない?」
「私の願いなら無限だろ」
さえずるような笑い声が、優しく耳を抜けていった。
ーーー
「最近アップした動画がさ」
「炎上したか。自業自得だぞ」
「前提~。違う違う。すっごい伸びたの」
「なんだこの動画」
「アザムが加盟してる執事同盟の通信動画」
「どうした?」
「これ新作、『突然の暴漢にも! 主従でできるコンビネーションアタック五〇』」
「五〇」
「オレも協力したんだぜ、かっこいいだろ」
「竜巻がでてるが?」
「あ! 見てよこのS・R・Kからの上からアザム! K.O間違いなしって感じじゃない?」
「こっちは精神に来てるぞ」
「一般向けに限定公開したら案外跳ねてさ。暴漢対策というよりオ
「今日は話を聞かない日なのか?」
「というわけで旦那、『突然の暴漢にも! 三人でできるトリニティアタック百選』っていう企画書がここに