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小ネタ01

 

 闘いなんて、怪我とお隣さんみたいなもんだ。パーフェクトKO! ってのもあるけど、そう簡単にできるもんじゃない。それに、痛みがなければ次の成長はない。だから、今日の顔の痣だって必要なのだ。
「旦那だって、いっぱい怪我しただろ」
「そうだな」
 べち、と派手な音と共に湿布がオレの顔ど真ん中に貼り付いた。遠慮がない。怒っているのを隠さないくらいに怒ってる。いつもクールなこの人は、時折とても子どもっぽい。
「ファイターならひとつやふたつ当然だ」
「うん」
「面白くないと思っている自分も面白くない」
「だろうね」
「だがな」
 旦那はそれはそれは苦しそうに言った。
「何故よりにもよってハートマークなんだ・・・・・・!」
「いやぁ」
 愛だねぇ、いろいろと。

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「伊達眼鏡だ」
 しげしげとラシードが私の顔を覗き込む。というより眼鏡か。
 度があるレンズは顔を歪ませる。観察すれば、私の眼鏡がフェイクであることはすぐ分かる。
「変か?」
 視力がいいのになぜ、と昔さんざ聞かれた。答えたことはろくにない。万物の存在に理由があると思う奴の相手は面倒だ。納得できないことは分からないという考え方も。故に、聞かれるとつい先手を打って自分を護る。しまった、と思う頃にはもう遅い。
 ラシードがしっかりと首を振る。
「ちっとも変じゃないよ」
 そらみろ、まるで私が甘えたみたいだ。

 

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 アザムが煎れるコーヒーは美味しい。最新のドリップマシンだって、今日のオレの気分に合わせることはまだできない。例えば、ノンシュガーな気持ちとか。
「聴いてた?」
 絶対ないことと知りながら、冗談めかして聞いてみる。アザムはもちろん知らん顔だ。
 そうだよな、あんな甘ったるい告白、オレだけのものじゃないと。なーんてな。

 

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 配信初めて早云年。そろそろ気分転換したいなと思って、衣装を替えることにした。ほら、ヒーローといえば変身、からのパワーアップ! ってやつ。うんうん、お披露目配信が今から楽しみだ。
「露出が多くないか」
 髪型はあんまり見せてこなかったけど、いい機会だしばっちり出してみた。これまでミステリアスな部分が露わになって注目されるって寸法さ。まあ寝起き配信とかでうっかり出したことあるからあんまりだけど。
「おい、露出が多いぞ」
 テーマカラーも意識してみた。ヒーローならぱっと思いつくのは赤だけど、それはあの人に譲りたい。あと、橙のヒーローってあんまり見ない気がするし。ブルーオーシャンを狙っていくのが商売の鉄則! おっと、配信は趣味だけどね。
「腹だの背中だの弱いところを出してどうする」
 よし、早速配信日を決めよう。誰か空いてる人いるかなぁ。ルークとか? いや、多分新品の服ボッロボロにしてやるぜ! みたいな燃え方しそう。怖い。美意識があって程よく気を使ってくれそうな人は・・・・・・。
「というよりジャンプしただけで乳首が」
「あー! 後ろでごちゃごちゃごちゃごちゃ! 旦那も似たような恰好してんじゃん!」
「お前が何時間も鏡の前で悩んでいるから助言しているまでだ」
「年頃の娘に対する父親みたいな助言ありがと!」
「若、ナッシュ殿、お茶が・・・・・・・・・・・・若」

「露出が多くありませんか」

「爺!!」 

 

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雑談 1:24:22~

 

 うん、そう。新ファイターね。ルークに合いそうだよね。ガンガン前に出るタイプ。もう告知見てるかな。メッセ送っとこ・・・・・・と思ったらもう知ってたみたい。『ぜってーアプデ日に速攻やる』だって。いいねえ。オレ? うーん、しばらくお休みかな。そー。やっぱねぇ、荒れやすいよね。やんなっちゃう。気分転換にパズルしたいなぁ。あ、『王子、イウサールしてー!』。こほん、呼ぶぜ、嵐を~! イエイ。いつも来てくれてありがと~。え、何々。ううん、多少昔のでも大丈夫。PCででてるなら直ぐ遊べる。教えて。あー、それ、かあ。あっ違う違う。もうプレイ済みだったってだけ。ごめん。微妙みたいな反応して。わっ、コメントすご。やったことある人結構いる感じ? すごいねぇ。『軽い気持ちで買ったら徹夜してた』『隠し要素多くて好き』『67面だけ謎に鬼畜』、あはは。オレも夢中になったな。所々抜け道とかあって、見つけるとやりぃ! って思ってた。そうそうそう、砂漠面のアレ。裏からいけちゃうの絶対意図してないよな。次の面でもいけるの知ってる? 抜けてるけどそれも魅力なんだよな。計算ずく? まっさかぁ。おっと、ストアページサンキュー。うわー、懐かしい。そっか、もうこんな前か。え! 面白そうだから買った!? 早くない? まあね、面白いからね。損はないよ。オレが保証する。判らなかったらここで聞けばいいよ。あはは、アイテム、エビがね、大事・・・・・・ふふ。エビ? エビってなるよね。なんでだろうね。わかんないね。

 はあ、いい時間かな。最後に懐かしい話になったな。このゲームの思い出が聞けて良かったよ。知らなかった人も遊んでくれると嬉しいな。じゃ、今日はここまで。

  ・・・・・・ありがとう。